受験の季節

明暗を分けるとき

毎年、年が明けると、受験の季節となる。
大学入試もさることながら、各種の国家試験も、1月から3月に集中しているものが多い。その試験結果次第で、4月からの自分の居場所が決まることも多い。
志望校に合格できれば志望校の学生や生徒になれるが、合格できなければ、それ以外の学校の学生や生徒にならなければならない。予備校生になっているかも知れない。
資格試験の場合、その資格取得が条件で就職が決まっていることもある。その場合には、試験に受かれば無事に就職できるのだが、試験に受からず資格が取得できなければ、せっかく勝ち取った就職内定も諦めなければならないかも知れない。
大げさなようで、まったく大げさではない、受験の季節とは、まさに人生を左右する重要な時期である。 これは決して受験に限らず、卒業を控えた学生たちにも当てはまる。毎年のように何名なの学生から、「就職が内定しているが卒業単位が足りないので何とかならないか?」という相談を受ける。何とか…と言われたも、どうにもならん! がんばって勉強して単位を取れ、としか言えない。特定の学生にだけ加点すれば、それこそ不正になる。

受験生への言伝

受験の季節を目前にして、受験生への言伝(=メッセージ)を書くことにした。

「通すための試験」と「落とすための試験」

まず、試験には、「通すための試験」と「落とすための試験」の2種類がある。
「通すための試験」は定期試験などのように、一定水準に達していれば合格というものだ。そのため、仮に全員合格ということでも問題は無い。(もっとも、作った側としては、簡単な問題を作りすぎたという反省はあるが…)
これに対して「落とすための試験」は、一定水準に達していない者を落とすことを目的としている。とりわけ定員が決まっているような場合には、その水準は(偏差値のように)相対的に決まる。入学定員が60人で受験者が100人であれば、40人を落とさなければならない。採用試験でも同じことだ。採用できる人数は決まっているから、その人数以上に受験者がいれば、誰かを落とさなければならない。
そうなると、「通すための試験」と「落とすための試験」とでは、問題の作り方も変わってくる。「落とすための試験」では、簡単な問題だけを出題していては差が付かないので、意地悪な問題、引っかけ問題などを作り、受験者の足を引っ張り、たった1点の差で合否が分かれる。試験問題を作っている側としては、自分が超ドSな悪党のようで、あまり好きではないのだが(いや、実のところ、心のどこかで楽しんでいる面もあります…・笑)、先述のように、定員が決まっている以上、ふるいにかけて誰かを落とすしか無い。
以下、「落とすための試験」について記す。(大学受験や資格試験を想定しており、定期試験は想定していないので、誤解無きよう…)

受験前にすべきこと/してはならないこと

まず、試験直前に勉強しても、あまり意味が無いから、とりあえずゆっくり過ごすことだ。試験範囲が幅広く、一夜漬けで覚えられるレベルではない。直前に慌てて勉強したところで、試験前に焦ってしまうだけで、むしろ逆効果になる。
次に、目的を明確にしておくこと。受験は大学に入ることや資格を取るための“手段”であり、大学に受かることや資格を取ることは、あくまで“目標”のひとつであって、それ自体が“目的”ではない。その大学に入って何を学びたいのか、その資格を取ってどんな仕事をするのかが重要だ。
学びたい大学に入るための受験であり、やりたい仕事をするための受験である。このことをしっかり心に刻み込んでおくこと。
そして、受験当日のことを想像してみよう。そこで自分は何をしているだろう…? どんな心境でいるだろう…?

受験直前にすべきこと

試験会場に着いたら、以下のことを思い出して欲しい。(試験会場に着いて時間に余裕があるなら、スマホでここを読み返してくれてもかまわない)

「私は今まで、一生懸命に勉強してきました。今、その成果を示すときです。今までの努力に見合った結果を出すよう、がんばります。私は必ず受かります。自信があります」

お経や呪文ではないから、一言一句覚えなくてもかまわない。おおよそ、こんな感じで良いというサンプルだ。(試験会場で読むのはここまで)
自分で自分に自信をつけ、自分で自分を勇気づける。そこから、心に余裕が生まれる。
受験会場で心に余裕を持った者は、ほとんどいない。余裕の無さが、一般に“ケアレスミス”と呼ばれる、予期せぬミスを導き出す。問1の解答を問2の解答欄に書いてしまって、最後に見直して気が付いたが手遅れ…ということもある。それが1科目目に起きてしまうと、もう2科目以降は悲痛な面持ちで受験をしなければならない。

「合格」という目標に向かって

先述したような自信や余裕を持つためには、それまでに何をしておくべきなのだろうか?
受験直前にしておくべきことは、よく寝ることだ。受験は集中力が要る。寝不足は受験にとって最大の敵だ。多少空腹でもかまわないが、しっかり寝ておくこと。そのために、自分がしっかり眠ることのできる方法を見つけておくことだ。
よく寝ることで体力も付く。体調を崩していると、頭も元気を無くし、実力を発揮することはできない。
そしてもう一つ、試験後の自分に何かご褒美を用意しておくこと。(ただし、受験の邪魔になるようなご褒美は控えること。試験の帰りに美味しいものを食べる等のご褒美でも良いが、「何を食べようか?」などと、試験中に考えないこと!)
以上、健闘を祈る!