立候補届出のあとで

前回、立候補の届出までの流れや注意点について記した。今回はその続きとして、立候補の届け出が受理されてからの話を書くことにする。(したがって、前回の記事以上に、知られていない話になる)

選挙公報

立候補の届出が受理されると、選挙公報に掲載するための原稿と写真を提出することになる。これは立候補の届出とは別の届けとなり、提出先も提出期限も異なる。この原稿と写真が、選挙期間中に有権者に配られる選挙公報に掲載される。この掲載申請をしなかった場合、あるいは掲載申請の期限に遅れた場合は、掲載してもらうことができない。

掲載する文章

掲載文は提出された原稿の通りに掲載される。選挙公報は点字でも配布されることから、固有名詞にはふりがなを振る必要がある。
掲載文には文字数制限はないが、他人の名誉を傷つけるもの、商品の宣伝、選挙公報としての品位を損なうものは記載できない。

掲載する写真

選挙公報に掲載する写真は、プリンタで印刷したものは避けた方がよく(印刷の出来上がり時に波状の模様が出るおそれがあるため)、コントラストがハッキリしたものであること、頭の上が詰まっているものや肩が切れているものは避けること(顔だけアップにしたものはダメ、髪が薄くても隠せない…)、胸から上が写った写真であること等の条件がある。写真は、縦13センチ×横9センチで、頭の上は1センチほど空けることとされている。頭から下が短い場合、写真枠が一部空白になるようだ。

掲載される順

選挙公報の掲載順序は、届出順とは異なり、別途くじで決められる。このくじは候補者が行うわけではないが、候補者またはその代理人が立ち会うことは可能だ。

立候補届出の際に交付されるもの

立候補の届けが完了すると、選挙運動に必要な多くの物品が交付される。そのすべてを書き出すととんでもない量になり、また、何が何だか分からなくなるので、主なものだけ記載しておく。

新聞広告掲載証明書(2枚)

新聞広告を掲載してもらう際に必要となる。どの新聞でもかまわないが、計2回までと制限されている。(同じ新聞に2回でもかまわない)

候補者用通常葉書使用証明書(1枚)

選挙運動用の葉書の交付を受ける際に必要となる。

自動車(船舶)表示物(1枚)

選挙運動で自動車(一般的に選挙カーと呼ばれるもの)を使用する際に表示しなければならないもの。これを表示せずに選挙運動をすることはできない。(船舶を利用する場合も同じ)

拡声器表示物(1枚)

演説等で拡声器を利用する際に表示しなければならないもの。これを表示せずに拡声器を用いて演説等をすることはできない。

乗車(船)用腕章(4枚)

選挙カーに乗車する際につけていなければならない腕章。これをつけた者しか、選挙運動のために選挙カーに乗車できない。(運転手と候補者本人は除く)
選挙運動のところでまた説明するが、この腕章は4枚しか交付されないことから、運動員は4名しか乗車できないことになる。

街頭演説用標旗(1旗)

街頭演説を行う際に掲げなければならない旗。これを掲げずに街頭演説をすることはできない。
時代劇の合戦シーンで出てくる馬印のようなものをイメージすると分かりやすいだろう。(そこまで立派なものではないけれど…)

街頭演説用腕章(11枚)

街頭演説に関わる運動員は、この腕章または先に示した乗車(船)用腕章をつけなければならない。このことから、街頭演説には、乗車(船)用腕章をつけた4人+街頭演説用腕章をつけた11人の計15人が運動員として参加することができる。

選挙運動用ビラ証紙(枚数は選挙によって異なる)

選挙運動用ビラに貼り付けなければならない証紙。これを貼っていなければ、選挙運動用ビラとは認められない。(証紙を貼らずに選挙運動用ビラを配布すると不正になる)

小括

配布されるものは、ざっとこんなところ。これらを用いた選挙運動については、次回以降に記すこととする。